教育実践学研究3. 53-62. 1996.

山梨大学教育学部における
情報教育カリキュラムの導入と評価(1)

A Case Study of Introduction of Information
Education Curriculum at a School of Education (1)

成田雅博
NARITA, Masahiro
(教育実践研究指導センター)

並木信明
NAMIKI, Nobuaki
(外国語教室)

舛谷敬一
MASUTANI, Keiichi
(物理学教室)

藤田孝夫
FUJITA, Takao
(技術職業科教室)

概要:教員養成課程学部に,ネットワーク環境を前提とした情報教育カリキュラムを導入した。コンピュータの初心者を対象に,電子メールの送受を実習した。その結果,学生の意欲・関心が高まったことや,より多くの電子メールやWWWを使った実習,特に就職情報に関連した実習を求めていること等がわかった。
キーワード:情報教育 教員養成課程 インターネット 電子メール

1. はじめに

 本稿では,山梨大学教育学部における情報教育カリキュラムの導入の過程および,施設・設備の管理等,シラバス,情報教育実習科目の実施結果について分析することを目的とする。

2. 山梨大学教育学部における情報教育カリキュラムの検討

 山梨大学教育学部においては,1994年度(平成6年度)まで,学部全体を対象とする情報教育カリキュラムは実施されていなかったが,1994年度(平成6年度)8月に発足した情報教育準備委員会は,検討をすすめ,1994年度(平成6年度)後期から情報教育に関する科目¥が選択科目として開講されることとなった。また,教育実践研究指導センター共同研究プロジェクト「教員養成学部におけるネットワークを利用した情報教育カリキュラムの開発に関する研究」が平成7年3月1日に発足し平成9年3月31日までの期間,新しくはじまった情報教育カリキュラムの評価に関する研究もおこなわれている。1996年(平成8年度)から,情報教育準備委員会は,情報教育委員会と名称変更し,現在にいたっている。

3. 「情報科学入門」「情報科学入門実習」の導入

 1994年度(平成6年度)から,共通教養科目および基礎教育科目として教育学部,工学部両方の学生が履修可能な科目「情報科学入門」1クラスが,基礎教育科目として「情報科学入門実習」4クラスが導入された。後者の実習科目は,Macintoshを使用するクラス,WindowsNTを使用するクラスが,前期後期にそれぞれ1クラスずつ開講されることとなった。
 「情報科学入門」の目標としては,インターネットと教育,情報公開と著作権,銀行のオンラインシステムやコンビニエンス・ストアの情報管理,コンピュータゲームとマルチメディア,図書館のインターネット利用等のそれぞれの分野の専門家の講義をもとに,コンピュータと人間生活の関係を考察することを設定した。授業担当教官は,本学教育学部,教育学部附属小学校,工学部の教官をはじめ,学外の講師を非常勤講師としてむかえている。
 「情報科学入門実習」の目標としては,以下を設定した。
  1. インターネットの場において情報活用能力を育成すること。
  2. クラリスワークス,MS-Office(Word, Excel)等の統合型ソフトを用いたレポートで自分の伝えたい情報を表現できること。
  3. 電子文房具として継続的な利用ができること。
 現在,「情報科学入門実習」は,平成10年度をめどに必修化が検討されている。授業担当教官は,情報教育委員会の教官が世話役となり,教育学部でこのような実習科目が担当可能な教官有志に個別に講師を依頼し,1人4回程度の授業を割り振っている。なお,担当教官の負担増,授業担当者の講師探しが困難である等々の問題が指摘されている。

4. 「情報科学入門実習」をおこなう実習室の機器,施設の管理体制

 「情報科学入門実習」のMacintoshを使用するクラスは,教育学部附属教育実践研究指導センターのマルチメディア教材作成室(イーサボードをつけたMacintosh LC520 40台,Quadra840AV 1台)を利用する。インストールされている主なソフトウェアは,クラリスワークス2.0および,インターネット関係のソフトウェア(Netscape 2.0,Eudora-J1.3.8.5,NCSA telnet2.5,Fetch3.0等)である。マルチメディア教材作成室の隣室にファイルサーバがあり,起動時に読み込み専用の設定の共用フォルダが自動マウントされ,デスクトップに現れるように設定してある。この共用フォルダには,教官提示用Macintoshからは書き込み可能であるように設定されており,教材用ファイルは共用フォルダから各学習者がコピー操作することによって可能である。またすべてのMacintoshに,画面共有/コントロール,ファイル転送ソフトウェア Timbuktu Proがインストールされている。
 Macintoshは,個人ユーザの嗜好に応じたシステムのチューンアップが可能であるが,本実習が対象とする初心者にとっては,1台ずつデスクトップパターン等が異なると理解が困難になるため,設定変更等ができないような何らかの対策が必要である。本センターでは,システムフォルダを隠す機能をもったAbracadabra(シェアウェア)を用いている。これを使うと,セレクタでプリンタ-の選択を変更すること等はできなくなるが,IPアドレス等の重要な設定が変更されてしまうことはほとんど無い。デスクトップパターンの乱れとしては,
等のことがみられたが,いずれも意図的なものではなく容易に復旧できた。これらの設定や日常のデスクトップパターンの修復にあたっては,マルチメディア教材作成室利用委員会の指導のもと学生利用委員会が実働部隊としてはたらいた。
 「情報科学入門実習」のWindowsを使用するクラスは,全学共同利用施設の情報処理分室(イーサボードをつけたWindowsNT 3.50 40台,情報処理センター管理)を利用している。インストールされている主なソフトウェアは,ハイパーキューブ(統合型ソフト),Microsoft Office(WordとExcel),インターネット関係のソフトウェア(Netscape 2.0,WIN/YAT,telnet,ftp等)であり,この施設については,教育学部6名,工学部11名の教官から組織される情報処理センター員が管理の実務をおこなっている。
 学生のメールアカウントは,1994年度(平成6年度)には,教育学部附属教育実践研究指導センターのサーバに設定していたが,1995年度(平成7年度)からは,情報処理センターのサーバに教育目的で全学生向けに作られたアカウントを利用している。また,このアカウントのホームディレクトリに作られた特定のディレクトリ内はWWWで公開されるように設定されている。教育目的の情報処理センターによる課金は,定額制がとられており,教育学部共通の情報教育関係の予算から支出されている。

5. 「情報科学入門実習」受講者

 本学部情報教育実習科目の履修者は,夏期休業中におこなった集中講義形式の1994年度(平成6年度)の場合,小学校課程14人,中学校課程8人,幼稚園課程4人,総合課程3人の計29人であった。通常の週1回形式の1995年度(平成7年度)後期の場合,小学校課程7人,中学校課程5人,幼稚園課程4人の計16人であった。いずれの年のクラスも,コンピュータの初心者が多い。たとえば,1994年度(平成6年度)「情報科学入門実習」のMacintoshクラスでの第1回授業時の調査によると,29人の受講者中,タイピングの自己評価で,2人が「キーボードを使ったことがない」,17人が「キーボードのキーをさがすだけで大変である」と答えている。またマウスを使ったことの無い者も7人いた。自分用のワープロを所有している者は5人,パソコンを所有している者は0人である。

6. シラバス

 本学部情報教育実習科目の特徴としては,実習のはじめに電子メールの利用を取り入れ,主にクラスメートへの電子メール送受で楽しさを味わい,速く正確なタイピングスキルを身につけることや,コンピュータを使って書くことへの動機づけをおこなっていることである。実習の最初に電子メールの利用を取り入れることがタイピング練習やワープロ実習等への動機づけに有効であることは,たとえば成田(1993)によって指摘されている。
 例として1995年度後期(平成7年度)「情報科学入門実習」のシラバスを以下にあげる。Windowsクラスでは,1994年度(平成6年度)にはハイパーキューブ,1995年度(平成7年度)にはMicrosoft Office(WordとExcel)を使用する以外は,大きな相違は無い。
○テキスト 新居雅行(1994),クラリスワークス2.0入門,ビー・エヌ・エヌ
○日程,内容
(1)10/17 担当講師I,N
 ガイダンス,事前アンケート,「初心者用練習ソフト」で練習,WWWで散歩,クラリスワークスでタイプの練習
(2)10/24,(3)10/31,(4)11/7 担当講師 I,N
 メールのパスワード設定,クラリスワークスのペイント,ファイル保存,ファイルのコピー,フォルダの操作,FDの操作等
(5)11/14. M
 電子メール,タイピング練習,クラリスワークスのワープロ
(6)11/21,(7)11/28 M
 電子メール,タイピング練習,クラリスワークスのワープロ,電子メールとワープロの協調(電子メールで受信した文書の一部をワープロに入れる,ペイントでつくった絵を書類添付するなど) (8)12/5,(9)12.12,(10)12/19 T
 クラリスワークスの表計算,グラフ,集計等
 ワープロでつくったファイルを表計算で読み込むなど。
(11)1/16,(14)1/23 K
 クラリスワークスのワープロ,表計算,メール等の復習
(15)1/30 K
 総復習,事後アンケート
○評価
最終レポートのみで評価し,その観点としては,構成,リサーチ内容,表現力,独創性である。なお,出席はユニットごとに指定アドレスにメールを送ることで確認する。

7. 授業担当者からみた講義,実習過程

 1994年度(平成6年度)の「情報科学入門実習」Macintoshクラスでは,授業担当講師がメーリングリスト上では次の事を報告している。
(1)タイピングは頻繁に間違う。
メールアドレスを間違える,パスワードを正しくうてない(長くキーを押してしまい2文字以上 はいってしまうなど)。
(2)パスワードの中にスペースを入れてしまう者がいる。
(3)パスワードを忘れてしまう。
(4)あまりに簡単なパスワードをつけてしまう。
(5)電子メールの宛先のタイプの間違いが多い。
以下はその間違いのパターン例である。
正しくは,To: narita@peach.kjb.yamanashi.ac.jp である。

To: narita@peach.kjb.yamanashi.ac.jp.
To: narita@peach.kjb.yamanasi.ac.jp
To: narita@peach.yamanashi.ac.jp
To: narita@peach.kjp.yamanashi.ac.jp
To: narita@peach.kjp.yamanashi.ac.jb
To: narita@peach.kjb.yamanasshi.ac.jp
To: narita@peach.kjb.yamanachi.ac.jp
To: narita@peach.kjb.yamanashi.acjp
To: narita@peach..yamanashi.ac.jp.

 これらの宛先間違い以外に,「@」を日本語モード(2バイト文字)にしてしまっている,To:やCc:フィールドに日本語モード(2バイト文字)スペースが入っている,電子メール内に半角カナが入っている,などによる送信ミスが見られた。これらの典型的なミスの例は,講師メーリングリストなどで共有された。

 1995年前期のWindowsクラスからの報告(1995年10月5日)では,課題として「WWW, news, ftp 等で外国の記事を取って,それを訳し,授業等の感想文をつけて,電子メールで送る」ことに対し,以下のような感想が,学生からよせられている。コンピュータネットワーク上で収集した情報の処理をおこなうことで,さまざまな気づきが生まれていることがわかる。

● WWWで色々なところを見るにつれて,世界がほんとうに小さくなったなと思いました。このレポートで扱った DISNEY WORLD は、行かなければその楽しさが分からないのに、ここの場所で分かってしまうことにとても感動しました。ここでこの情報をGETしたからには、その場に行って確かめてくるのもまた楽しみの一つです。今は実際 DISNEYWORLDにと ても行きたいです。 この情報処理入門を受講して、とても興味のあったコンピューターのことを少しでも知ることができて満足しています。しかし・・・まだまだ私はコンピューターに嫌われているようです。このレポート先のアドレスや、アンケート、すべて消えてしまったのです。なぜそうなったのか、どこでどうしてしまったのか私には、分かりません。友だちにメールでおくってもらってなんとか出せたのですが、提出が遅くなってしまってすいませんでした。
 まだまだ分からないことがたくさんあります。ですからこれからもちょくちょく分室に足を運びコンピューターと仲良くなって、この情報化社会のなかで思う存分楽しみたいと思います。
● 最後のレポートで思ったことは英語がとても大切なことです。はっきりいって英語が駄目なだけでネットワークのいやパソコンの楽しさを半分以上発揮できてないと思います。しかし、この情報科学入門実習で覚えたことはとても多かったです。それにEーMAILでやり取りをしている橋本さんもいい方で今でも快くすぐにMAILを返してきてくれます。
 この授業で実感したことはネットワークの普及の多さです。世界に広がりみず知らずの個人の事まで知れてさらに会話形式でやり取りできる。でもそのためには英語力をつけなければならないと思います。もっといろいろとしりたかったですが、半年間ありがとうございました。
● 外国とインターネットをつないでみて、すごく自分の視野が広くなったような気になった。しかも本当に早く情報が得られるので、これからはインターネットが使えた方が絶対に得だと思った。ただ、英文なので訳すのが大変だ。インターネットを使いこなすには、英語もやらなければいけないと思った。
● 和訳していてよく意味を理解することができませんでした。でもエバゼイセルという人物がいたということが分かったので1つ成長したような気がします。

また,授業一般について以下のような感想が寄せられている。
● このパソコンを使った授業を一通り受けてみて、とても楽しく、ためになった。特に、このインターネットを使ったときは、コンピューターのとても素晴らしい使い方だと思った。それは、コンピュータの前で画面と向き合っているだけで世界のあらゆる情報が集まってくるからで、これから先には、これが情報を知る最も有効な手段になると思う。今回、僕はNASAについて情報をゲットしたが、もっといろいろな情報もゲットしてみたい。半年の授業では単なるコンピューターの使い方を学んだだけでなく、コンピューターのより良い生かし方、コンピューターのおもしろさ、素晴らしさを学べて、本当によかったと思う。
● これは外国の太陽系についての文書です(詳しいアドレスを載せようとしましたが、ホットリストから消えてしまっていたので今はわかりません)。かなり画像も取り込まれていて実によくできていると思いました。これなら教育につかっても差し障りなく授業で使用できると思います。一年前はインターネットを使用できるなんて夢のような話でしただけど、今こうして使用して外国にアクセスしてみるとその奥行きの深さに驚きますし、英語の大事さも実感することもできました。是非、これからもインターネットをつづけて国際的な視野を身につけたいと思います。
● この文章はハワイ大学の歴史について説明しているもので、どのような経緯で大学が設立されたのかという事が分かり大変興味深いものだった。インターネットによって、このように遠くの世界の歴史まで知ることができるということを学び、これからの世界のつながりはよりいっそう身近なものになるだろうと感じた。
● 英文を打つのが、とても疲れました。やっぱり日本語は最高です。パソコンはとても楽しいけど、目が疲れるのが弱点だと思います。
● この授業はとてもおもしろかったし、身につきました。ぜひぜひパソコンを購入したいと思っています。(当分先の話ですが・・。)いろいろとお世話になりました。
● コンピューターの操作にはだいぶ慣れてきたと思います。でも、慣れた頃になって終りなのでちょっと残念です。今度はお金をためて自分で買いたいと思います。そうして友達とメールの交換をやりたいと思っています。
● 訳すのが大変だった。それに訳しても意味がわからなかった。でも、普段豚をペットとして飼うなんて考えないから、楽しかった。英文をタイプするのは、慣れてなかったけど、面白かった。英語の勉強も久々だったので、ためになった。
● 未だにキーボードをたたくのが遅いのですが、楽しみながらすることができるようになりました。メールのやり取りも板についてきました。全く会ったことのない人と手紙のやり取りをするのは妙な感じがするけれど、とても楽しいです。これからも、できる限り続けていこうと思っています。
● 夏休みにアポロ13という映画をみた。これを訳した後にみた。内部の様子とか設備、機械など目でみていろいろ驚いた。シャトルが発射されていく様子を見てるとすごい所なのだと感心した。その時代は初めて人が月に降り立ったときからすぐの頃で、30年以上経っているから、今ではもっと近代的なスペースステーションになっているだろう。様々な作業をこのKSCで行っているのだから、まさにアメリカのスペースステーションの心臓部でもあるのだろう。
● この作業はとても時間のかかるものでした。でも、外国の情報を手に入れるという、今までやったこともなかったことが出来てとても楽しかった。この授業が終わっても、Mosaicあたりは今後も使っていきたいと思います。ということで、短い間でしたがご指導ありがとうございました。
● 原文には、きれいな絵があったが、フロッピーに記憶させたら文だけになってしまい残念だった。ぶんになったら、わけのわからないものがでてきた。それは、訳すことができなかった。とはいえ、日本中、世界中WWWサーバーが数秒にしてわかってしまうとは、ネットワークはすごいと感心しました。ほかのWWWの内容もおもしろいものばかりでした。授業は、これで終わりですが、これからも分室にきていろいろやってみたいと思います。ありがとうございました。


図1 学習スキルの各項目についての自己評価の得点平均


図2 学習スキルの各項目についての興味・関心および有用性についての得点平均


図3 今後履修希望するコンピュータ実習関連項目の選択率

8. 受講者対象のアンケートの分析

 本稿の巻末資料にあるアンケートを,実習授業の最終回,または最終レポート提出日におこなった。ここでは,1994年度(平成6年度)集中および1995年度(平成7年度)後期の「情報科学入門実習」Macintoshクラスでの結果を示す。図1はアンケートの項目2,学習スキルの各項目についての自己評価についてである。各項目ごとに,1. 自信をもってできる 2.だいたいできそうだ  3.あまり自信がない 4.できそうにない,と得点化し,クラス全員について平均した。実習であまり扱うことのできなかった表計算,データベースについての自己評価は,比較的低い。図2は学習スキルの各項目についての興味・関心および有用性についての評価について同様の処理をおこなったものである。得点は1がもっとも肯定的,4がもっとも否定的である。ワープロ,表計算,タイピング練習の有用性が興味・関心より肯定的評価が低いのに対し,電子メールは,興味・関心および有用性の両方とも高いことがわかる。図3は今後履修希望するコンピュータ実習関連項目の選択率である。他学部,他大学等との電子メールによるコミュニケーションを選択した学生が多く,図2の結果とあわせ,電子メールが,学生に好意的に受け入れられていることを示している。
 コンピュータを使った授業の体に対する影響であるが,目の疲れ,肩こり等,疲労感のそれぞれの項目について「少しある」「かなりある」のいずれかを回答した学生が,1994年度(平成6年度)集中では25人中それぞれ,23人,20人,21人であったのに対し,1995年度(平成7年度)後期では16人中それぞれ,7人,6人,9人であった。こうした実習の体への影響については今後も留意し,本学部の実態,環境にあったコンピュータ実習のガイドライン作成を,近い将来作成すべきであると考える。

9. 今後の課題

 今後の課題としては,(1)実習科目の適切な位置づけによる必修化,(2)非常勤講師等の採用,(3)学生利用委員会のスタッフの確保,(4)カード式入室システムの導入にともなう管理上の問題の解決,(5)教員養成課程全体からみた情報教育カリキュラムの充実,があげられる。  (3)の解決については,学生利用委員会の地位向上やイメージアップ,たとえば,学生利用委員をアルバイトとして採用する,委員のチョッキ等の貸与のほか情報教育施設設備の管理運営の専任の技官等の配置が考えられる。(4)の解決のためには,今すぐにできる対策として,簡易カメラのQCAMをMacintoshに取付け,CU-SeeMeおよび,QuickCamTooで簡易監視カメラシステムを組むことが考えられるが,監視カメラの設置を早急にすすめるべきであると考える。
 (5)については,教育実習の前中後に,電子メールで実習校の教師,子どもとやりとりをして,指導を受けたり,子どもたちをより良く知ることや,大学の指導教官と連絡をとりあうこと,ネットワーク上で学校などの教育活動,ボランティア活動に参加,協力していくこと,たとえば,ある決まった子どもたちからの疑問,質問を継続的にきいて,それに答るために学生がいろいろな手段で調べ,結果を子どもたちにわかるように説明するといった活動をカリキュラムに取り入れていくべきであろう。WWWページ作成のコンサルタントという形で教育情報を提供したいが人手が足りないところに学生が行って,HTML化の手伝いをするということも奨励するべきであろう。「学生を情報化のvehicle(乗り物)にする」,あるいは,Lave & Wenger(1991)の正統的周辺参加を教員養成課程において実現する,という異議があるからである。また,就職情報を入手したり逆にネットワーク上で自分を売り込むことなどの活動も取り入れたカリキュラム開発が今後の課題である。そのためには,(1)で述べた実習科目の必修化が必要であり,また,その中にWWWページを書くという活動が入ってくることになろう。1996年度(平成8年度)の「情報科学入門実習」ではまだ必修化が実現していないが,WWWページを書く活動がシラバスに取り入れられるようになった。

謝辞

 本研究の成果は,1994年度(平成6年度),1995年度(平成7年度)情報教育準備委員会,1996年度(平成8年度)情報教育委員会各委員,及び,これら情報教育の授業担当者に負うところが大きかった。お礼申し上げる。

参考文献

 Lave, J. & Wenger, E.(1991). Situated Learning : Legitimate Peripheral Participation. Cambridge University Press. Cambridge, 邦訳 佐伯胖(1993).状況に埋め込まれた学習:正統的周辺参加. 産業図書
 成田雅博(1993). 教員養成課程におけるコンピュータ通信実習の効果に関する研究(1) 山梨大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 1. 43-50

資料 授業後アンケート質問紙の一部

調査日:1994/9/22,1996/1/23
 2. 以下の各学習項目について、あてはまるものを○でかこんでください。
(1)フロッピーディスクをフォーマット(初期化)する。
1. 自信をもってできる 2.だいたいできそうだ  3.あまり自信がない 4.できそうにない
<以下,選択肢は同一>
(2)ディレクトリ(フォルダ)をつくったり、ファイルを移動したりする。
(3)ファイル名の変更,ファイルのコピー,ファイルの削除(消去)をする。
(4)正しい指づかいで,両手のすべての指でタイピングする。
(5)ワープロ機能を利用して体裁よく文書をつくる。
(6)ペイント機能を利用して,簡単な絵をかく。
(7)表計算機能を利用して,たての列ごと,横の列ごとの合計などの表をつくる。
(8)表計算機能を利用して,棒グラフ,折れ線グラフをつくる。
(9)データベース機能を利用して,住所録をつくる。
3. 以下の学習内容についてA群,B群それぞれについて1つずつ自分にあてはまるものに○をつけてください。実習授業でやっていない内容については,内容の番号に×をつけてください。
(1)フロッピーディスクのフォーマット(初期化),デイレクトリ(フォルダ)の作成,ファイル名の変更,ファイルのコピー,ファイルの削除(消去)
A1. たいへんおもしろかった A2.おもしろかった A3.おもしろくなかった A4.まったくおもしろくなかった
B1.非常に役に立つことだと思う B2.役に立つことだと思う B3.あまり役に立たないと思う B4.まったく役に立たないと思う
<以下,選択肢は同一>
(2)タイピング練習
(3)ワープロ機能
(4)ペイント機能
(5)表計算機能で集計した表をつくる。
4. 実習の授業をうけていて,以下のようなことにどれくらい気づきましたか。
(1)目の疲れ,目がショボショボするなど
1.かなりある  2.少しある  3.あまり感じない  4.ほとんど感じない
(2)肩こり,肩,腕,指などの痛み,だるさなど
1.かなりある  2.少しある  3.あまり感じない  4.ほとんど感じない
(3)どこが痛いとかだるいとかではなく,なんとなくといった疲労感
1.かなりある  2.少しある  3.あまり感じない  4.ほとんど感じない
(4)その他
気づいたことがありましたら書いてください。(  )
8. コンピュータを利用した授業で,開講されれば今後履修したいと思うものに○をつけてください。(あてはまるものにはすべて○をつけてください)
 1( )マルチメディア教材作成室でMacintoshをつかった,今回のような入門の授業
 2( )情報処理分室でNEC PC9801をつかった,今回のような入門の授業
 3( )マルチメディア教材作成室でMacintoshをつかってワープロ,表計算,データベースの使い方を扱う,今回より中級者向けの授業
 4( )情報処理分室でNEC PC9801をつかってワープロ,表計算,データベースの使い方を扱う,今回より中級者向けの授業
 5( )マルチメディア教材作成室でMacintoshをつかって,教材作成などをおこなう授業
 6( )情報処理分室でNEC PC9801をつかって,教材作成などをおこなう授業
 7( )ネットワークをつかって,山梨大学の他の学部,学科の人や大学以外の人
と電子メールやニュース(電子掲示板のようなもの)をつかってコミュニケートする授業
 8( )ネットワークをつかって,図書館の文献情報を検索する方法を学習する授業
 9( )ネットワークをつかって,就職情報を入手したり,自己PRする方法を学習する授業
 10( )その他(具体的に記入してください       )
9. 以下の学習内容についてA群,B群,C群それぞれについて1つずつ自分にあてはまるものに○をつけてください。実習授業でやっていない内容については,内容の番号に×をつけてください。
(1)電子メールで文を送ったり受け取ったりする。
A1. 自信をもってできる A2.だいたいできそうだ  A3.あまり自信がない A4.できそうにない
B1. たいへんおもしろかった B2.おもしろかった B3.おもしろくなかった B4.まったくおもしろくなかった
C1.非常に役に立つことだと思う C2.役に立つことだと思う C3.あまり役に立たないと思う C4.まったく役に立たないと思う
<以下,選択肢は同一>
(2)電子メールに文書を添付して送ったり受け取ったりする。

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